夜に咲く花,ゲッカビジン(月下美人)の開花・・・なぜ夜中に咲くのか
10月下旬,夜に花を咲かせ,珍奇な植物といわれるゲッカビジンの花が咲いているところを撮影しました。
シャコバサボテンは,栽培されているのをよく見かけますが,ゲッカビジンも同じサボテン科の植物です。
今回は,ゲッカビジンとはどのような植物なのか,その風変りな実態について,写真や動画をまじえて
解説したいと思います。
ゲッカビジン(月下美人)
ゲッカビジンは、メキシコの熱帯地方原産の植物です。
学名:Epiphyllum oxypetalum(エピフィラム・オキシペタラム),
サボテン科のクジャクサボテン属の1種です。
「葉の先や中ほどから新しい葉や花芽が生じる。」
というのは間違いで,緑色の葉に見えるものは,すべて茎(くき)です。
枝の部分は,茎が葉のように偏平化した形態をしていて,葉状茎あるいは葉状枝とも呼ばれます。
ですので,葉状茎の部分を土に挿しておけば,本当につくのかと,見た目の違和感を感じてしまいますが,
茎ですので根っ子がしっかり出てきます。
ゲッカビジンの花
ゲッカビジンの花は,日が暮れて暗くなると開きはじめ,良い香りを放っています。
というのも,多くの花のように昼間に活動する昆虫に花粉を媒介してもらうように進化しなかった
ということです。
では,月が明るく照らすような暗い時分に,何者が花粉を媒介するのでしょうか。
まず,花の姿を見てみましょう。
花が咲く直前になると,垂れ下がっていたつぼみが,起き上がってきて横を向きますので,
花の正面を見ることができます。
花(花冠)の幅は,20㎝くらいになりますので,ボタンの花くらいの大きさです。
ゲッカビジンの花は,見るからに雄蕊(おしべ)の数が非常に多く,ベッドのような頑丈そうなつくり
になっていて,花の蜜や花粉の量もかなり多いようです。
ということは,大きめな飛べる動物が,花の蜜や花粉を求めて訪花するということがわかります。
日が暮れて暗くなってからのことですので,もう想像がつくと思います。
10月くらいには,ホウジャクと呼ばれる蛾が夕方に,花の蜜をせっせと吸蜜しているのを良く見ますが,
それでは小さすぎます。
メキシコの現地では,ヘラコウモリの仲間が花の蜜や花粉を採餌することで,花粉を媒介しています。
ゲッカビジンは,日本では鉢植えにすることが多いですが,本来は樹木の樹皮に着生する植物ですので,
高いところに生育しています。
コウモリが飛びながら長い舌を伸ばして蜜と花粉をなめる姿が想像できますが,
その際に,顎(あご)やお腹に花粉をびっしりと付けて,別個体の花の雌蕊(めしべ)に受粉させる役割
を担っているようです。
夕方暗くなると,コウモリが飛んでいるのをよく見かけますが,
日本にいるコウモリは,蚊などの飛んでいる昆虫を食べているものがほとんどで,
花の蜜や花粉などを採餌して生活しているものはいません。
ですので,他の株や,他の品種の株の花粉を使って人工授粉をしなければ実が生りません。
花や実は,食用にできるそうです。
通販で,ポット苗や種を入手することもでき,
植え方,育て方などの詳しい情報も閲覧することができます。
種は発芽しない場合もありますので留意が必要です。
スポンサードリンク↴
|
熱帯植物ですので,冬場は,鉢植えで外の朝陽の挿す軒下に置いていても中間地では絶えることはないですが,
葉状茎が枯れ込みます。
雪が長期間積もるくらいに気温が低いと地上部がすべて枯れてしまいますので,
冬は屋内で管理するのがよいです。
この場合,根がやられずに残っていることもありますので,枯れたとしても再生が期待できます。
動画でも花を色々な角度から撮影していますのでご視聴ください。
2019/11/03
コメントを残す