植菌した年の秋に発生したキクラゲ・・・発生状況と榾木の冬場の管理などについて
本邦にある数種類のキクラゲのうち,人工的に栽培されているのは,
キクラゲ,アラゲキクラゲ,シロキクラゲの3種類になります。
このうち一番多いのがアラゲキクラゲですが,
本種は早ければ,種駒を打った年の夏に発生するということです。
国内に出回っているアラゲキクラゲのほとんどが輸入ものといわれているので,
安全な国産を食べたいという思いから栽培をはじめたばかりです。
今回は,昨年のキクラゲの発生状況と冬場の管理について報告します。
キクラゲの夏から秋の発生状況
キクラゲは,6月から10月にかけて発生するとされています。
今回は,植菌して最初の年ということで,夏は猛暑・干ばつがひどく,発生はあきらめていましたが,
秋になってアラゲキクラゲの発生が,植え付けた種菌の種駒からのみ確認できました。
10~11月のことです。
種駒からの発生でしたので,それほど大きく成長していません。
雨が降らないと,キクラゲは乾燥して黒く堅くなり,小さく縮んでしまいますので,大きくするためには,
頻繁に散水して湿度を保つ必要があるでしょう。
コリコリとした食感がありおいしく食べることができました。
キクラゲの特色
キクラゲ(木耳)というと,八宝菜などの中華料理に入っているというイメージがあります。
しかし,
アラゲキクラゲは,匂いや香りがほとんどなくスープや炒め物,サラダといった色々な料理に使える食材で,
そのクラゲを食べるような,こりこりとした歯ごたえを楽しむだけでなく,
栄養素においても,ビタミンDや,鉄,カルシウムは,キノコの中ではダントツといえるほど
豊富に含まれています。
他のキノコと同様に,βグルカン(ベーターグルカン)という食物繊維の効果,
たとえば,便秘の改善や糖尿病の予防などにも期待できそうです。
人の場合は,皮膚が日光(紫外線)に当たると,皮膚中のコレステロールが分解されてビタミンDが生成される
といわれています。
ある番組でも紹介されていましたが,
キクラゲを日光(紫外線)の下で乾燥させると,ビタミンDが生よりも10倍くらい増加するだけでなく,
ビタミンDが,体内に吸収されにくいカルシウムの吸収を促進します。
ヒトが日光に当たらなければ,副甲状腺ホルモンが血中のカルシウム量を維持するのに骨中のカルシウムを
溶かすため,骨がスカスカになってしまいますので,ビタミンDは必須の栄養素で,その生成には紫外線が
大きな役割を担っているといえます。
さらに,ビタミンDは,油に溶けやすい脂溶性ビタミンですので,
油炒めや揚げ物など,油と一緒に調理あるいは摂取するとビタミンDが吸収されやすくなるということです。
ビタミンは,水溶性のビタミンB群を除くと,油に溶ける脂溶性のものが多いですね。
ビタミンDは,日射量が少ないことによる冬期鬱病とも関係があるそうです。
ビタミンD摂取により,骨粗しょう症の予防や関節痛だけでなく,鬱病の改善なども期待できる
ということです。
ということで,今回は,発生がわずかでしたので,カレーの具材に使用しました。
キクラゲの冬場のホダ木の管理
キクラゲだけでなくほかのどのキノコでも,発生しない時期のホダ木の管理が重要になってきます。
これが,ホダ木の寿命を左右するようです。
収穫後においてもホダ木を乾燥させるといけないということで,
「降雨が少ないなら,落ち葉などで覆う」と本に書いてあったのですが,
これでは衛生上好ましくなく,被覆・撤去作業に手間がかかるので,
霜除け,保温,保湿などの効果のある不織布を使うと良いかもしれないということで,
ホダ木を防草シートの上に倒して並べ,白い不織布を被せています。
確かに,意図せずに天然キクラゲの蔓延した枝を,ほかの剪定枝や枯れ葉や刈った草などと一緒に堆積させて
放っておくと,いつにまにか大きなキクラゲが発生していたということがありました。
これがキクラゲにとっては快適な環境なのかもしれません。
あまり散水する暇がない場合は,キクラゲの発生時期にも不織布でホダを覆っておくといった工夫を
してみるのも良いでしょう。
2019/01/29
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