農薬の説明書においてアオムシやケムシ,ヨトウムシなどの俗称が使用される理由

キャベツや白菜といった野菜などにつくチョウや蛾の幼虫を駆除するのに,

農薬の取扱説明書で,アオムシやヨトウムシといった,いくぶん曖昧な名称を使用しているのを

見たことがあると思います。

なぜ,このような漠然とした名称を使う必要があるのでしょうか。

今回,チョウや蛾の幼虫について,俗称を用いている理由などについて解説します。

 

目次

1.アオムシとは

2.ヨトウムシとは

3.農薬の適用害虫欄に漠然とした俗称が用いられているのはなぜ

 

 

 

 

チョウや蛾の幼虫の俗称

アオムシとは

農薬の説明書の適用害虫欄では,アオムシ(青虫)やケムシといった漠然とした名称をよく見かけます。

アオムシは,青物につく幼虫?,青色の幼虫?と困惑してしまうこともあるかもしれません。

よく見るのが緑色のモンシロチョウの幼虫で,アオムシの代表といえます。

 

チョウやガの幼虫のうち,毛が無いか,あるいは微細な毛をもつが,長い毛やトゲ(毒棘)がない,

これが,いわゆるイモムシ(芋虫)です。

アオムシとは,イモムシに当てはまるもののうち,体色が緑色を呈する幼虫を指します。

緑色といっても,色の薄いもの,濃いもの,褐色がかったり灰色を帯びたりと色々とありますので,

本当に漠然としていますね。

 

 

ヨトウムシとは

上で説明したアオムシの中には,生物学上用いられない俗称で,ヨトウムシと呼ばれている幼虫がいます。

この名称も,農薬の説明書の適用害虫欄でよく見かけます。

 

しかし,ヨトウムシには,次の2通りの意味があります。

1.ヨトウガの幼虫(狭義)

2.ヤガ科に属する幼虫(広義)

 

1の狭い意味での場合は,適用害虫にヨトウガの幼虫ならばヨトウガと記述すれば済むはずですので,

2のヤガ科に属する幼虫を指しているものと考えられます。

ヤガ科の中でも作物を加害する害虫として,ヨトウガ,ハスモンヨトウ,シロイチモジヨトウの幼虫が代表的で,

この3種類だけを指してヨトウムシ,またはヨトウムシ類という場合があります。

 

このほか,ヤガ科に属し,タマナギンウワバ,オオタバコガといった,

“・・・ヨトウ”という語尾がつかないものも含まれていて,これらは夜蛾(ヤガ)と呼ぶ場合もあります。

 

 

農薬の適用害虫欄に漠然とした俗称が用いられているのはなぜなのか

 

この理由はいくつか考えられます。

 

1.

ヨトウムシは,ヤガ科の蛾の幼虫になりますが,

学術上の名称は,誰もが知っているものではないこと,

学術的な分類は,常に一定のものではなく,将来に向かって改訂される場合があり,

過去には,その都度,個々の昆虫の分類や所属が改訂されてきた経緯があることから,

古くから使われている慣習上の名称を使用したほうが混乱がなく,

汎用性があることによるということが考えられます。

 

2.

アオムシやケムシ,ヨトウムシなど適用害虫欄に,俗称を用いると,

個々の名称をすべて列挙しなくて良いという利便性があります。

 

3.

適用害虫欄に,昆虫の和名が記してあるものの,それが成虫なのか幼虫なのか,

書かれていないといったこともあるでしょう。

単に,ヨトウムシ,ケムシ,アオムシと表記すれば,どちらか書かなくても幼虫だとわかります。

 

ガの成虫は,花の蜜,果実の汁,樹液を吸って生活している3つのタイプがありますので,

作物によって,何を対象としているのか理解できます。

しかし,知識がなければ,葉,葉枝,樹幹,果実,昆虫,卵,それらの複合と用途が異なっている場合に,

初めての方は解釈を誤ることもあるかと思います。

使い方を誤れば危険な場合もありますので,

農薬の使用者や販売する側も注意しなければいけません。

 

4.

アオムシとケムシといった形態の違いによって,農薬の効き方が異なる場合もあります。

農薬は,虫体への直接散布,葉面散布,土壌混和,株下散布など,色々と取り扱い方が異なります。

 

例えば,ケムシは,ご存知のとおり,ある程度の撥水性がありますので,

農薬をはじいてしまい,虫体に散布しても効果がないといったこともあるでしょう。

ケムシとイモムシの形態を示すものは,チョウにも蛾にも見られますので,

形態で区別するほかにありません。

 

5.

幼虫の体色によって,農薬の効き方が異なる場合があります。

イモムシの色には,緑色,茶色,灰色,黒色,赤色と様々な色があります。

イモムシは,常にいる環境と同じような色で,擬態(カモフラージュ)している種類も多いです。

同じ擬態でも,天敵に襲われないように,目玉のような眼状紋のあるイモムシなどは例外になります。

 

アオムシは,葉を食べて生活しているので,

緑色のモンシロチョウ幼虫が好例ですが,その葉の色に近い体色をしています。

 

ヨトウガの幼虫は,若齢~中齢幼虫では,緑色をしていてアオムシになりますが,

老齢幼虫になると昼間は土の中や地際付近に潜んでいる場合がありますので,

土の色に近い灰褐色や灰黒色といった色をしています。

ですので,アオムシに適用のある場合では,発生初期(若齢期)にのみ散布して駆除することができます。

 

 

 

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