マムシと竹の子掘りの最中に遭遇・・・その危険性と特徴とは
春になって,みかん畑でいつものように竹の子掘りをしていると,マムシと初めて遭遇しました。
毒蛇ですので,噛まれると大変危険だということは知っていました。
近年,温暖化の影響もあって,マムシが増えてきているようです。
タケノコの収穫だけでなく,山菜採りや,草取り・草刈り,キノコ狩りなどでも
マムシに襲われるケースがあります。
今回は,マムシに噛み付かれる危険性や特徴などについて,動画もまじえて報告したいと思います。
マムシとその生態
マムシは,クサリヘビの仲間で,学名は Gloydius blomhoffii(グロイディアス・ブロムホフィアィ)
その正式名称は,ニホンマムシと呼ばれています。
英語でも,「Mamushi」と表記されます。
ニホンマムシと遭遇したのは,タケノコ(筍)が出てくる4月の下旬でまだ肌寒かったため,
マムシもまだ動きが鈍っていて,あまり動きたがらなかったのが幸いでした。
そのお陰で,動画も撮影することができました。
ニホンマムシは,卵胎生(らんたいせい)で,メスの腹の中で子どもが卵から孵化し,
ある程度の大きさになって,子どもが体外に出てきます。
ですので,子供が腹にいる夏から秋にかけて,メスのマムシは子孫を残すために本能的に神経質になり,
手当たり次第に噛み付くという事情は,理解できると思います。
このように,無意識のうちに噛まれるということも,あり得ますので,
とくに,7月から10月までの時期に,草むらに入る時には,マダニ対策も兼ねて,
深めの長靴をはき,厚めの革手袋,腕カバーをして,山菜採りや草刈りなどの作業をするといった,
十分な注意を払うことが大切ですね。
他の爬虫類と同じ変温動物ですので,寒さや暑さに順応できていないと,近づいても逃げず,
滅多なことをしかけない限り,尾先を振ってただイライラだけを見せることがあります。
完全に怒らせてしまうと,当然噛み付いてきます。
竹の子を掘るために唐鍬(とうぐわ)と呼ばれる農具を昔から使っています。
直径3㎝はあるモウソウチクの太い地下茎を切ることができ,竹林の手入れ・開墾でも必須用具です。
この唐グワを盾にして,マムシの攻撃の様子を観察することができましたので,その時の写真を紹介します。
噛み付くまでの時間が,あまりにも一瞬のことですので,もし,鎌で草刈りやゼンマイやワラビ採りなど
をしていて手を近づけると,気が付かないうちに噛まれてしまうかもしれません。
道路のかたわらや,獣(けもの)道の日が当たるところでトグロを巻き,日光浴をしているところ
をたまに見かけることがあります。
つまり,このときは動きが鈍っていることが多いということですね。
これは,体温調節のほか,ヒトと同じで,ある程度は日光に当たらないと,骨がスカスカになってしまうため,
そういった理由もあるようです。
ヒトが日光(紫外線)に当たると,皮膚中のコレステロールが分解されてビタミンDが生成されて,
体内に吸収されにくいカルシウムの吸収を促すことで,骨粗しょう症を予防できるそうです。
マムシ毒は,噛まれて放っておくと危険
犬や猫は,マムシ毒に対して耐性があり,放っておいても治るようですが,
なぜか,ヒトの場合は,病院に行かずに放っておくと死に至ります。
ヒトは,犬や猫よりも噛まれる頻度が極めて少ない生活をしてきた,ということがその要因ですね。
知人に,マムシに噛まれて大したことないと病院に行かず,敗血症になり亡くなった人がおります。
噛まれたら,体を動かすと毒まわりが早まるので,できるだけ安静にし,
ためらわずに救急に連絡して必ず病院を受診しましょう。
噛まれて6時間以内には,病院で血清投与を施す必要があります。
他の毒蛇については?
ニホンマムシのほか,日本の毒蛇には,ヤマカガシ,南西諸島のハブ,対馬のツシママムシなどがいます。
ヤマカガシは,北海道と南西諸島,小笠原諸島を除く,国内の広い地域に分布し,
カエルが多く生息する水田などの水辺やその周囲の山中でみられ,噛まれて死に至るケースがあるようです。
いづれの毒ヘビも,迅速な血清の投与が必要ですので,病院を受診しましょう。
そのためには,毒ヘビの特徴の把握を確かなものにしておく必要がありますので,
以下に,マムシの特徴のみですが,挙げておきたいと思います。
マムシの特徴
マムシは,次の4点の特徴をつかめば,簡単に識別できるようになります。
・ 頭部は,エラが大きく張り,三角形に近い。
・ 胴体は,異様に太く,腹に子どもや食べたものが詰まっていない時は平べったい。
(詰まっていればツチノコ形になります)
・ 尾は,急に細くなる。
・ 模様は,体に銭型の斑紋がある。
体の表面が,一見乱雑な模様に見えますが,穴銭をつかって表現した銭型の斑紋を見れば,
簡単に把握できると思いますので,このページの末尾の動画でぜひ見られてください。
動画では,寛永通寶(かんえいつうほう)の文銭などの裏面を使っています。
今回,普段は見ることのない,マムシの隠れた裏側を撮影できました。
まさに,蛇腹(じゃばら)で,白と黒のまだら模様になっています。
蛇腹の構造は,提灯や灯油の給油ポンプ,スポイトなどに使われています。
しばらく,写真の姿勢のまま動かず,なぜか,マムシは触られても気持ちよさそうな表情をしていました。
2019/05/03
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