除草剤で竹林に隣接する農地に生える竹を枯らす際の注意点・・・農耕地登録された除草剤なら安全なのか
放置竹林が隣接する農耕地などでは,竹が年々,圃場内に侵入してきて増殖し,手に負えない!
竹を枯らしたいものの,タケノコも収穫したいという方もいらっしゃるのではないかと思います。
今回,竹に用いる除草剤について,その使用方法や注意点などについて解説したいと思います。

竹はどのような方法で枯らしたら良いのか
竹やその根茎は,農耕地登録されたハーブ・ニート液剤やサンフーロン液剤といった
除草が困難なスギナやササなども枯らすことができる除草剤を,竹の空洞に施して枯らします。
下の写真に写っているハーブ・ニート液剤というホームセンターに置いてあった除草剤を使っていますが,
500mL入りの除草剤の取り扱い説明書では,ラベルをめくって剥がさないと見ることができません。
そのラベルの仕様の意外性が,中面の使用方法などをよく読んで使用してくださいという注意書きが
隅っこの,目に入りにくい死角にあることと相まって,気が付かないまま使用している,
といったケースもあるのではないかと思われます。

その説明書には,適用雑草名として,竹類の記載があります。
適用場所は,林地と放置竹林とあり,夏期に竹稈(ちくかん)注入処理を行うという旨,記されています。
この稈(かん)というのは,竹の茎の部分を指します。
1本の竹に対して,5~10mLの原液を竹の中に注入します。
ただし,本剤およびグリホサートを含む農薬の使用回数は1回のみという使用制限があります。
ですので,
除草剤を水で薄めずに,原液をそのままスポイトなどで5~10mLほど吸い取って使用するので,
扱いやすいです。
500mL入りの除草剤の場合,竹を50~100本処理できるということです。
では,どうやって竹の中に注入するのか色々と考えないといけません。
地上部の竹を根元付近から切り倒して,竹のふしの部分にある隔壁(かくへき)に穴を開けて注入するか,
切り倒さずに,外から茎に穴を開けて注入するかの,2つの方法が考えられます。
前者のほうは,モウソウチクの場合,生きている竹のほうがノコギリで切りやすいだけでなく,
バールや鉄筋などを用いて,下の写真にあるように,何重にもある隔壁を深いところまで割って
穴を開けることができます。
しかし,施用したあとに雨が降ると雨水がたまって薄まってしまったり,水があふれたりしますので,
穴を開けて除草剤を注入したあとに,ガムテープか何かでフタをしておくと安心です。

竹を切り倒さずに竹稈注入処理を行う場合,堅い竹に穴を開けるのには手間がかかるだけでなく,
モウソウチクの場合,枯れて竹が乾燥し材質が堅くなってしまうとノコギリが引っかかり,
後に,根元から伐採し,小切りにして片づけることが面倒になります。
除草剤を使用する際には,事前に知っておくべきことがありますので,
以下に解説したいと思います。
除草剤を使う際に注意すべき点
農耕地において,非農耕地専用の除草剤を使用した場合は,農薬取締法違反になりますので,
除草剤の農耕地での取り扱いには,注意が必要になります。
ハーブ・ニートやサンフーロンなどの除草剤に含まれるグリホサートイソプロピルアミン塩液剤
については,昔からよく知られるラウンドアップの主成分ですが,
2019年1月にフランスでラウンドアップの販売が禁止されるなどの動きもあることから,
グリホサートを含む除草剤の使用に際しては,十分に気をつけることに越したことはないと思われます。
主成分が同じラウンドアップは,海外では安全性に問題があるため訴訟にまで発展しています。
これに関してより詳しく,海外の情報や色々な方の意見を知りたい方は ⇒ こちら。
ですので,竹の子の収穫を続けたいとお考えの方は除草剤の使用はあきらめるのが適切でしょう。
どうしてもという方は,
タケノコは,4月頃から地上に姿を現してきますので,その頃に除草剤を施用するのは適切ではありません。
使用時期が夏になっているのは,こういった理由もあると考えられます。
もし,除草剤を施用した後に,タケノコが生えてきた場合,施用した竹から15m以内に生えたタケノコは
食用に供したらいけないということが記載されています。
ですので,
除草剤を施用した後は,管理外の土地まで農薬の影響が及ぶ可能性があるため,
その範囲を,縄で囲い,立て札を立てて,タケノコ採取禁止区域にするか,
地境界から15mの範囲の竹には処理をしないなどの措置を検討しなければいけません。

しかし,竹林に隣接する圃場では,放っておくと毎年,竹の地下茎がものすごい勢いで伸びて
畑に侵入してきますので,そのたびに大変な思いをしますが,
あぜ板の埋設によって物理的に竹の繁殖を抑制するとより安心です。
グリホサートを主成分とするサンフーロン液剤,ハーブ・ニート液剤などは,竹やスギナの駆除に限らず,
農耕地登録されたものであれば,果樹や水田,野菜畑などに生える雑草に対しても
規定の濃度に水で薄めて使用できますが,SNS(←クリックするとこのページに飛びます)を見てもわかる
ように世論は急速に変貌してきています。
これからの時代は,様々な天変地異,災禍が多発する大洗濯,セレクションの時代ともいわれ,
生き抜くためには農薬や除草剤など一切の化学物質に頼らない生活スタイルに変更していく努力が必要に
なってくるでしょう。
2019/04/16
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