マシン油乳剤の使い方と注意すべき点 ー カンキツ類
果樹には,カイガラムシやアブラムシ,ハダニなどの害虫がたくさん発生することがあります。
駆除をするには農薬の散布が欠かせません。
マシン油乳剤は,JAS法に定められる有機農産物に使用可能な農薬で,
使用回数の制限がありませんが,使用する際に気をつけるべきことがあります。
ここでは,主にカンキツ類に関して,マシン油乳剤の使い方や注意すべき点などについて触れています。

マシン油乳剤の使い方
カンキツ類に発生するカイガラムシ類や,サビダニ類,ハダニ類は,
冬期には越冬卵として存在し,
マシン油乳剤(キング95マシン(0.5L入り)の場合,春に入ってから50倍に水で希釈)の散布で,
窒息効果により防除をします。
薬害が出る恐れがありますので,春になって新芽が出る前(3~4月)までに行います。
その際,樹幹や葉枝に,かけ漏れのないように散布します。
前年にたくさん発生している場合は,発生年の12月にも少し濃いめの30~45倍で散布します。
マシン油乳剤を水で希釈した後の散布液は,
1本のみかんの木(幅 4×4, 高さ 3m)に,5リットルくらいの量になります。
上の写真で紹介したキング95マシン(0.5L入り)というマシン油乳剤の他に,
大量に必要な場合は,ハーベストオイル(4L入り,20L入り
)のほか,
トモノール(18L入り)といった種類のマシン油乳剤も使えます。
マシン油の成分は95%および97%があって,97%のほうが効果が高いようです。
トモノールの場合は,キング95マシンと同じ95%で,カンキツ類に対して3~4月 に50倍希釈で
水で薄めて使います。
トモノールSとハーベストオイルは,マシン油97%で,カンキツ類に対して12~3月は 60~80倍希釈で
水で薄めて使います。
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マシン油乳剤
(左の写真と異なるマシン油乳剤もあります) |
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マシン油乳剤を使用する際の注意点
マシン油乳剤は,その名のとおりマシン油が原料ですので火気厳禁です。
また,光により劣化しますので,直射日光を避け,冷暗所に保管が必要になります。
揮発性があるため,散布する際に気温が高く,陽射しの強い時間帯に散布するのは適切ではありません。
オリヅルラン,サンセベリア,ポトスなど夜間に酸素を放出できるものを除く多くの植物は,
暗くなると光合成をやめて,気孔から酸素を吸収して呼吸を始めます。
逆に,昼間には葉緑体で光合成により水(H2O)を分解して酸素を生産しています。
ですので,
虫が気門をふさがれて呼吸できなくなるように,
植物もマシン油で気孔がふさがれて呼吸ができなくなってしまいますので,
植物にとっては,散布するのは夕方よりも朝方の時間帯が良いです。
樹勢が弱っている時は,とくに散布を控えるなど気を遣ってあげる必要があります。
降雨時やその前後は,マシン油乳剤が流れ落ちたり薄まってしまいますので,
散布しても効果がなくなってしまいます。
また,使用期限の超過したものは,油が分離して効き目がなくなりますので,
使わないようにしましょう。
マシン油乳剤の石灰硫黄合剤やボルドー液などとの混用は禁止されています。
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