カンキツ類やイチジクなどに集まるカミキリムシを駆除するバイオリサとは
バイオリサは,カミキリムシ類のみに寄生するボーベリア菌(カビやキノコの仲間)を感染させて,
駆除する生物農薬です。
・ バイオリサ・カミキリ(ボーベリア・ブロンニアティ剤)
・ バイオリサ・マダラ(ボーベリア・バシアーナ剤)
の2種類の商品があります。
バイオリサ・マダラは,マツの枯損木のみが対象で汎用性がないので,
ここでは,バイオリサ・カミキリを紹介します。

バイオリサとは
バイオリサに使われている菌は,Beauveria brongniartii(ボーヴェリア・ブロニアーティアィ)
という,冬虫夏草(昆虫寄生菌)として知られるタクサを多く含むノムシタケ科の子嚢菌類です。
サナギから羽化して穴から出てきた成虫や,産卵のために木に飛来した成虫の体に,
このボーベリア菌が触れることで,感染して動けなくするということです。
カミキリムシの幼虫であるテッポウムシ(洞虫)が対象の農薬ではありません。
成虫の羽化時期に,糸状菌の分生子のついたシートを短冊形に切り分けて輪っか状にし,
樹幹や枝の分岐部にホッチキスでとめて設置します。
生木(生きた木)につくカミキリムシと,一部,ほだ木につくカミキリムシの駆除が目的の農薬ですので,
枯れ木や倒木,朽木などにつくものに関しては不明な点が多いです。
コガネムシ類などの甲虫にもボーベリア菌が作用する可能性があるかもしれません。
バイオリサの適用害虫と対象となる樹種
以下のカミキリムシと樹種が対象になります。
ただし,朱字で記したもののみ現時点で登録されている樹種になります。
・カミキリムシ類: 果樹類 (カンキツ類につくゴマダラカミキリも含まれています)
・ゴマダラカミキリ: カンキツ類,とくに温州ミカン+カラタチ(ミカン科),カエデ(カエデ科),
イチジク・クワ(クワ科),クリ,ブナ・コナラ属(ブナ科),リンゴ・ナシ・スモモ属・ビワ・カナメモチ属・
トキワサンザシ属・バラ属(バラ科),ヤナギ属・ヤマナラシ属(ヤナギ科),クルミ(クルミ科),
スギ(スギ科),トネリコ属(モクセイ科),ハンノキ属・カバノキ属(カバノキ科),ハイビスカス,
スズカケノキ(スズカケノキ科),ツバキ(ツバキ科),グミ(グミ科),センダン(センダン科),
イヌエンジュ・ネムノキ・ハリエンジュ(マメ科),モチノキ属(モチノキ科),ニレ属(ニレ科)
クロモジ属(クスノキ科)など多数。
・キボシカミキリ: クワ・イチジク属・コウゾ属(クワ科),カンキツ類(ミカン科),
クサギ属(シソ科),ヤツデ・カクレミノ(ウコギ科)など
・センノカミキリ: タラノキ,ウド,ハリギリ(別名 センノキ)(ウコギ科)など
・クビアカツヤカミキリ: サクラ・食用サクラ,ウメ(バラ科)
・ハラアカコブカミキリ: シイタケのほだ木 (このカミキリムシがすべてではないので注意が必要!)
ホダ木の寿命を縮めるカミキリムシに関する詳細は ⇒ こちらのページ
これらのカミキリムシは,柑橘類などの果樹,とくにゴマダラカミキリの被害が多い温州ミカンのほか,
イチジク,タラノキなど,農産物を生産する樹木に集まって産卵し,
幼虫であるテッポウムシ(洞虫)が樹木の内部を食害し,木の寿命を短くします。
バイオリサを何年も使い続けることで,次第に被害がなくなっていくということです。
使用にあたっての注意点
購入年内に使い切る必要があり,取り扱いには注意が必要です。
バイオリサ・カミキリは,100本入りと500本入りがあり,業務用といえるものですので,
対象樹木を少しだけ植えているという場合は不向きかもしれません。
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バイオリサ・カミキリ SLIM
(100本入り:50袋入り が2コ入っています) |
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Amazonへのリンク |
バイリサの使いみち
JAS法で規定される有機農業に使える農薬ですので,
長期的に被害をなくしたい生産者の方,
例えば,
果樹(フルーツ)やそのほかの農産物の生産者の方に限らず,
庭園や街路樹などの植え木を生産されている方も,
少し使い方を工夫してみれば被害を軽減することができると思います。
キノコ生産者で,シイタケやアラゲキクラゲなどのホダ木の原木を栽培をされている方は,
食害痕の大きいゴマダラカミキリなどによるブナ科(コナラやブナ)などの樹木の被害を
軽減することができると思います。
ただし,樹木に穿孔する昆虫はカミキリムシではないこともありますので,
この場合は,別の方法で防除する必要があります。
樹木に穿孔するカミキリムシ以外の幼虫に関する詳細は ⇒ こちらのページ
バイオリサの入手にあたって
Amazonや楽天市場では,100本入りのみ入手可能となっていますが,
何れの店舗でも,今回の紹介の時点では,価格は一定しているようですので,
送料のほか,支払い方法によっては +代引料か銀行振込手数料などの違いのみとなると思います。
Amazonでは,お住まいの地域の特定の銀行や郵便局ATMの装備しだいで,
Pay-easy(ペイジー)が利用可能となりますので,振込手数料がかかりません。
ただ,現金でのお支払いができないATMでは,カードが必要になります。
また,お買い物の仕方しだいで,送料も無料になることがあります。
2018/06/16
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