タマネギ苗の植付けータマネギの生態や病気などについて考えてみた
タマネギ(玉葱)の苗の植付けを,播種時期が遅れて時期的に遅くなりましたが試験的にやってみました。
苗はホームセンターで売っているものを植えても良かったのですが,今年は種を蒔いて育てたものを使います。
今回は,タマネギがどのような植物で,どう植えると良いのか,どのような病気にかかるのか,
トウが立つとなぜダメなのかなどについて解説します。
![](https://i0.wp.com/fujigasako.com/wp-content/uploads/2018/02/1594ebe645d0da388b6beffad4ed3afa-300x225.jpg?resize=400%2C300)
玉ねぎ畑をつくる
玉ねぎを植える畑の畝(うね)の幅は,
95㎝幅の黒マルチをかけるので,60㎝くらいにしています。
![](https://i0.wp.com/fujigasako.com/wp-content/uploads/2018/02/9248fe8ff9293215b3b35512ce4d75ee-300x225.jpg?resize=300%2C225)
黒マルチを敷いて,畝に直交する方向で,株間10㎝で5列,
畝の方向に15㎝間隔で,マルチ穴あけ器(径60㎜)を使って穴をあけ,植えていきました。
穴あけ器は,切り抜いたマルチが,中にある2本のねじに刺さって,
まとめて回収できるという意外と便利なものです。
![](https://i0.wp.com/fujigasako.com/wp-content/uploads/2018/02/a40c72ae65eb1f42e00b873e89d1c60c-300x225.jpg?resize=300%2C225)
穴あけ器を使って穴を開けると,
手できたなく開けるよりも効率が良い上に,マルチの再利用もしやすいので節約できます。
タマネギとは
学名は,Allium cepa(アルリアム・スィーパ)で,ネギの仲間になります。
タマネギは,ごく普通の野菜に思えても,かなり変わりものの野菜です。
鱗茎をつくるヒガンバナ科の単子葉植物です。
鱗茎は,球根(俗称)とも呼ばれるもので,分球することもあります。
![写真_タマネギ](https://i0.wp.com/fujigasako.com/wp-content/uploads/tamanegi_bunkyu.jpg?resize=500%2C333&ssl=1)
ですので,いわゆる球根と呼ばれるものは,根という字がついていても根ではありません。
タマネギを小さい時に収穫して、また畑に植えても,茎頂から新しい芽を伸ばすことができます。
鱗茎というのは,鱗茎葉という多肉質の貯蔵葉が何層にも重なって球形をしているもので,
栄養をたくさん蓄えているところです。
鱗茎は,地下茎と葉が合体したもので,葉の基部側にある地下茎から“ひげ根”を生じます。
ひげ根は,細く肥大もしないので,根をあまり広く,深く張ることができません。
タマネギは,鱗茎の大部分を占める葉の柔組織に水分を多く蓄え,地上部に露出して生育するので,
多肉植物の名残をとどめている植物だと考えられます。
多肉植物は,サボテンのように砂漠のような乾燥地帯に生育していることが多いです。
というのも,
タマネギは,中央アジアや地中海沿岸の国など,もともと乾燥気候下で生育していた頃の名残なのか,
株間が広い状態というのは通常の生態ではないと考えられるため,
群生状態で育てると元気に育つようです。
とはいっても,
株間があまり狭いと大きく育たないので,玉の大きさ分ほどは確保してあげたほうが良さそうです。
タマネギは,根をあまり張らない分,吸水力が弱いため,
水をある程度吸収できないと萎えてしまうので,乾燥しやすい土を嫌うようです。
かといって,完全には日本の温暖湿潤な気候には適応できていないため,
あまり過湿状態になりすぎると,病気が蔓延したり腐ってしまうといったことが起こります。
ですので,日本では株間があまり狭いと風通しが悪くなり,降雨があっても乾燥しにくい状態を
つくってしまいます。
タマネギは,乾燥気候を好み,長雨を嫌う植物です。
慣れないと扱いが難しい植物だということです。
灰色カビ病の蔓延
2016年は,暖かくなって雨の日が断続的に続き,灰色のカビがタマネギの葉の表面にびっしりとつき,
殺菌剤の散布の甲斐もなく広域的にタマネギの不作の年でした。
この灰色のカビというのは,
灰色カビ病の原因となるボトリティス菌(Botrytis cinerea)が蔓延したものです。
![](https://i0.wp.com/fujigasako.com/wp-content/uploads/2017/12/5ec8285efa8d8e851f9f14e3c0b74aba-300x225.jpg?resize=400%2C300)
暖かくなって,雨が降り続くと,葉に菌が蔓延りやすくなるので,
長期間の雨にあてるといけないようです。
もともと生育していた環境を考えると,適度に寒くて,湿度が低いほうが良いようです。
このほか,夏になって過湿状態になると,
葉に褐色の斑点ができてべとついた状態になって枯れてしまうべと病(Peronospora destructor)のほか,
葉鞘や鱗茎部が変色して独特の悪臭を放つ軟腐病(Pectobacterium carotovorum)にかかることもあります。
夏場の温度の高い時期には,軟腐病は,ペクトバクテリウム細菌がついていると収穫後にも発生しますので,
切ってみたら鱗茎部が腐っていて料理に使えないといったこともよくあります。
野菜では化学肥料の使用が栄養過多のために病・虫害がつきやすくなり貯蔵性を悪くする
といった話もよく聞きます。
その化学肥料ですが,
外部サイトですが,訪れると信じられないような実態が見えてきます(こちらのリンクから)。
テレビなどでなく「これからはネットの時代です」と誰もが知るあの方が忠告していたほどです。
SNSですが,まだの方はぜひ体験されてみてください。
キーワード検索窓に気になる複数の単語を1字ほどスペースをあけて入力し,検索をかけみられてください。
すぐ上のリンクから訪れていただくとわかりますが,
化学肥料が,病・虫害を促進し,農薬を使用する機会を増やしてしまい,土壌・地下水など水環境まで汚染して
健康を害するだけでなく生態系まで破壊してしまうという悪循環。
これが延々と続くとどうなるか想像つきますね。
自然を守りたいという方は,これからは農薬や化学肥料,除草剤は決して使わないようにされて下さい。
できることなら草は除草剤で枯らさずに刈り取って畝に鋤き込んだり草マルチとして使ってあげてください。
タマネギの苗の植付け
今年は,種を播くのが遅くなりすぎたので,苗がすごく小さいです。
タマネギの秋蒔き品種では,一定期間以上,低温にさらすと花芽分化してしまいますので,
あまり大きく育った苗を植えて冬至を迎え,その後,昼の長さが12時間以上に達してくれば,
収穫前に薹立ち(とうだち)してしまっているといった事態が起きてしまいます。
昼の長さが12時間以上になるのは,概ね,3月20日頃(春分の日前後)以降くらいになります。
そうなると,タマネギが大きく肥大しないうちに収穫しなければいけません。
下の写真にあるのが,タマネギのトウです。
![写真_タマネギ](https://i0.wp.com/fujigasako.com/wp-content/uploads/tamanegi_tou.jpg?resize=500%2C375&ssl=1)
トウが伸びてきたら,根元から折って取り除いておくと芯がそれ以上発達せずにすみます。
トウが立ってきたら,なぜダメなのかというと,現物を見ればわかります。
次のページで現物写真を交えて詳しく紹介しています。
以上のことから,苗の太さは3~5㎜くらいのサイズのものが適当だということです。
しかし,今回の苗のは,太さ1~2㎜で,雪や霜にあたって枯れたらいけないので,
今年の冬はある程度に育つまで,畝にビニールシートをかぶせてトンネル被覆を試してみます。
トンネルの枠は,モウソウチクを伐採して,長さ2.2 mくらいで切り,
それをナタ鎌で割って棒をつくり,畝に深さ20㎝ほど突き刺していけば完成です。
後は,幅1.85 mのビニルシートを被せて,クリップで固定し,作業完了。
![](https://i0.wp.com/fujigasako.com/wp-content/uploads/2017/12/92d6fef293d9bc0721f8643c34c57616-300x225.jpg?resize=400%2C300)
この透明のビニルシートは,1.85m幅(厚さ0.1㎜)では,長さ5mのものと,長さ10mのものがあります。
ビニルシートは,太陽光に長くあてると3年くらいで劣化して破れやすくなりますので,
使用後は洗浄し,すみやかに納屋などの暗所に保管しておくことが大切です。
2017/12/07
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