ウメの受粉作業を省力化するメジロ・・・付随するカンキツ類被害の元凶はヒヨドリだった
メジロやヒヨドリなどは,年が明けて2月頃になると甘く熟した柑橘類の実を食べるようになります。
そんな中,メジロは梅の花が咲くと,その花の蜜を求めて梅の木によく飛来します。
今回は,そのメジロの行動パターンと役割についてつづってみたいと思います。
メジロの行動パターン
メジロは,温州ミカンの取り残しや,清見,不知火といった未収穫のカンキツ類の実を
ついばみに飛来しますが,清見や不知火といった果皮の堅い実に穴を開けられないため,
部分的に腐熟していたり,ヒヨドリが開けた穴から,黄色い果汁を蓄えた砂じょうの部分だけを
ついばんでいるようです。
梅の花に訪れるのは,すでに2羽に限定された,つがいの場合が多いようです。
それまでメジロは,秋頃から10~20羽の群れで行動していることがよくあります。
そうでない場合は,キクイタダキやエナガの群れに1~2羽混群ないし追従していることもあります。
寒い冬の間は食べ物が少なく体力も消耗するので,群れで行動したほうが生き残りやすいのでしょう。
なぜ,1~2月,よりによって食べるものがカンキツ類なのかというと,
柿の実がすべて熟して落果し,食べ物に枯渇した状況で,
カンキツ類のビタミンC や β-クリプトキサンチンなどの豊富な栄養素にあると思います。
というのも,鳥はそれらの栄養素が多く含まれる温州みかんや不知火などの甘いカンキツ類を
選り好みして食べているからです。
甘夏などダイダイ系の酸味の強いカンキツ類は,果皮も厚くて堅く見向きもしません。
温州ミカンは,血管の老化を防ぐとされる β-クリプトキサンチンが他の食物に比べ群を抜いて
多く含まれています。
ですので,メジロはカンキツ園のある周辺の広葉樹林や竹林の中でよく摂食や繁殖行動をしています。
人がいても,つがいがカンキツ類の木を訪れて,1羽が見張りをして,もう1羽が実をつついて食べている
といった風景をよく見ます。
椎茸ハンマーを大型ハンマーで打ち付けてどれだけ大きな音をたてても,動じません。
むしろ,そのほうが安心なのかもしれないです。
1~2月には鳥インフルエンザが蔓延するので,栄養をしっかりと摂っておきたいのかもしれないですね。
鳥類起源のA型インフルエンザとその予防に関する詳細は ⇒ こちらのページ参照
メジロは,カンキツや花の蜜などにありつけない時に,ほかの木の実などを食べているようです。
梅の受粉をするメジロは益鳥
冬の間,花粉は風によってもいくらかは運ばれますが,花粉を媒介する昆虫はほとんどいません。
そればかりでなく,
梅は,1本の木だけでは花粉と雌蕊(めしべ,しずいとも読む)の遺伝子型の和合性が低く,
適合しなかった場合,受精しても種子が形成されないため,結実しない割合が高いです。
これは,自家不和合性(じかふわごうせい)によるもので,被子植物の大半がこれに該当します。
ですので,近くに,昔からある梅の木があったり,違う品種の梅の木を植えていると実が良く付きます。
2月,梅の花が満開になり花の蜜が充実しはじめた頃,メジロが,梅やツバキの木に飛来して,
長い舌を伸ばして,花の蜜をなめ始めます。
当然,くちばしには花粉がびっしりとついて黄色になっています。
今年は,暖かい日が多く,梅の花が咲くのがかなり早かったため1月の末には飛来しているのを見ました。
このように,メジロは,毎日のように梅の木を訪れ,花粉の受粉を手助けしてくれます。
人工授粉をする手間が省けるので,メジロは益鳥といえます。
温州ミカンや,渋柿,ツバキ,サザンカなどを梅の木の周辺に植えているとメジロが集まりやすいので
非常に助かります。
梅の収穫は梅雨に入ってからになります。
梅の収穫と梅雨については ⇒ こちらのページ
2019/02/23
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